コロナ禍でも認知機能を守ろうコロナ禍で長く社会生活が制限されることで、高齢者が生活不活発状態となり、筋力低下による「フレイル」や、認知機能低下を来たすリスクの高まりが懸念されています。
認知機能は4つの要素、すなわち(1)記憶(昔・昨日・今日・さっきを繋げる力)、(2)見当識(けんとうしき)(季節・日時・場所・そこにいる理由を把握する力)、(3)理解判断力(状況を理解・比較・判断する力)、(4)実行機能(経験や知識に照らして物事を実行する力)で成り立っています。
年齢的な認知機能低下は、脳組織や血管の老化、脳内廃棄物の蓄積、脳活動の減少等で、誰にでも生じ得る現象です。しかし、さらに食事・嗜好(しこう)・生活習慣、活動性、体質等の要因で認知機能の低下が助長され、生活・心理・行動に支障・混乱を来たし、自立困難で支援を要する状態に至ると、認知症と診断されます。また、脳の腫瘍(しゅよう)や炎症、ホルモン・ミネラル・ビタミン異常、神経変性疾患等が背景に潜(ひそ)む場合もあり、早期の医療アクセスが大切です。
脳組織や血管の老化を防ぎ、認知機能を守る取り組みとしては、高血圧・脂質異常・糖尿病等生活習慣病の適確な管理、食生活では緑黄色野菜・茶・赤ワイン・カレー・玄米・大豆・カカオ等に含有される種々のポリフェノールの抗酸化作用、青魚の不飽和脂肪酸摂取による脳の構成成分の維持や血流促進作用の活用が、研究成果から推奨されています。
そして認知機能の活性化手段としては、視力・聴力・嗅覚・味覚・触覚・思考の六感の活用と、脳内伝達物質を増し、脳と身体・臓器との交流を促す、有酸素運動が挙げられます。
清らかな景色を愛(め)で、さえずりを聴き、風を感じ、菜の香りを愛で、友と散策し、詩を詠(よ)み、旬を味わいつつ一休みし、さらに歩む!世の中と関わる活動をしましょう!
家に籠(こ)もり、自然無き環境でテレビに明け暮れていては、脳は十分活動しません。さあ、皆さん!感染には十分に留意され、自分らしい脳の活性化に励んでください。
文責:玉木医師