■人生会議について
人生会議という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?
もしものときのために、ご自身が望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取り組みのことです。患者さんの価値観、希望に沿い、将来の医療およびケアを具体化することを目標にしています。アドバンス・ケア・プランニングと呼ばれたりもします。
歳を重ねていく中で、身体の不調や病気は避けられませんが、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されている健康寿命を延ばすことが大事になってきます。
しかし重い病気になり、もう回復が難しい、これまで通りの生活ができないとなった場合に、延命処置が行われることがあります。食事が摂(と)れなくなったときの胃瘻(いろう)造設や静脈(じょうみゃく)からの点滴、人工呼吸器の装着などです。
痛みはできるだけとって欲しい、心臓マッサージや人工呼吸器までは希望しない、できれば一日でも長く生きていたいなど、それぞれのお考えがあることと思います。命に関わることですからどうしても深刻になりがちですが、いざ選択を迫られるときには、ご自身は意思表示ができない状態となっている可能性もありえます。あらかじめご家族や医療・ケアチームと話し合っておくことが今後の人生をどのように過ごして、どのような医療やケアを受けたいかというご自身の生き方にも関わってきます。お考えはその都度変わることもありますが、むしろそれが当たり前だと思います。
国の調査では、人生の最終段階における受けたい医療について家族や医療関係者と話し合ったことがある方は、半分に満たないとされています。ただ自分が意思決定できなくなったときに、どのような医療・療養を受けたいか、受けたくないかを事前に示しておくのが望ましいと感じる方は半数を超えているようです。
一度自身の「人生会議」を行ってみてはいかがでしょうか。
文責:谷川(たにがわ)医師