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医師会だより

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東京都福生市

■不随意筋(ふずいいきん)の話
筋肉は随意筋と不随意筋に分けられます。随意筋は自分の意思で動かすことができる横紋筋(おうもんきん)で、骨格筋がほとんどです。
不随意筋は自分の意思で動かすことはできない筋肉で、平滑筋(へいかつきん)で構成された血管、消化管や膀胱(ぼうこう)などに分布しています。心臓も筋肉で横紋筋系ですが、自分の意思で動かすことのできない不随意的です。
心臓は横紋筋系ですので、鍛(きた)えることができます。いわゆるスポーツ心臓と呼ばれ、筋肉量も増えます。心臓は普通に生活していても、1日10万回ぐらい動いているポンプで、1分間に約5ℓの血液を送り出します。心臓も鍛えなければ衰えが生じ、心不全の状態が発生すると思われます。下肢(かし)のむくみ、呼吸困難、倦怠感(けんたいかん)など運動耐容能の低下が起こります。
心不全の程度を知るため、血液検査でBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)を測定することで、おおよそのことが分かります。画像診断などを追加して心不全の悪化状態により、ステージ分類が行われます。心不全は心筋梗塞(こうそく)、弁膜症(べんまくしょう)、心筋炎などポンプ機能の異常でも発症します。
老化に伴い筋肉が衰えるフレイルでは、骨格筋(横紋筋)が問題視されています。人間1人に骨格筋は約400種類あり、90歳でも鍛えることができます。平滑筋での筋肉の衰えはほとんど分かっていません。瞳の瞳孔括約筋(どうこうかつやくきん)は平滑筋ですが、衰えて世間が見えにくいというのは聞いたことがありません。血管、消化管、膀胱などの平滑筋も衰えることを予防することは難しいかもしれません。
しかし、平滑筋と自律神経を含めた稼働システムの衰えが原因かもしれない、立ちくらみ、逆流性食道炎、便秘、頻尿、尿漏れ等々は、年齢の増加に伴い、誰でも感じているはずです。
生まれてきたことは死ぬことを意味します。どんな風に死ぬかは誰も知りません。自分で身体が壊れていくのを防ぐ努力は必要です。若いころは思ってもみなかったことです。
生活習慣の改善が生きている時間を長くしてくれそうです。高血圧、糖尿病、弁膜症、虚血性(きょけつせい)心疾患、動脈硬化などの改善が、その後発症するであろう心不全や血管疾患、脳疾患の予防になります。つまり脳、血管、心臓、癌(がん)等々は生活習慣で改善することができます。運動、アルコール類、たばこ、食事内容などは自分でコントロールが可能です。

文責:星野医師

       

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