■「子どもの成長について」
子どもの成長と一口に言ってもさまざまな見方があります。体の成長、心の成長、運動機能の成長、社会性の成長、等々。今回は、成長期の子どものスポーツ指導者によく参照される「スキャモンの成長曲線」をご紹介します。
90年前に成長学で有名な米国のスキャモン教授によって示された成長分析の一つです。この分析について異論を唱える論文もありますが、90年前に示された分析が現代にも使われているのは驚くべきことです。
スキャモン教授は、人間の成長を大きく4つに分類しました(下図参照)。(1)〜(4)の曲線は成人(20歳)の値を100%として、それぞれ(1)リンパ型、(2)神経型、(3)一般型、(4)生殖型を示しています。
(1)のリンパ型は主にリンパ腺の発育です。分かりやすく言うと、免疫の成長を示しています。(2)の神経型は脳重量を測定した曲線で、5歳ごろまでに成人の80%、12歳までにほぼ100%に達することが示されています。乳幼児期がいかに重要であるかが分かります。(3)は一般型、主に身体の大きさの成長を示す曲線で、身長や体重の成長曲線と同じような型になります。(4)は生殖型で、主にホルモン学的な成長を示します。これらの成長にはかなり個体差があり、同年齢であってもばらつきがあります。特に(4)の生殖型は男女で大きく異なり、女性の方が男性よりも早く思春期に入ります。
とはいえ、標準的な年齢よりも早く思春期の兆候が見られた場合には、思春期早発症などが見つかる場合があります。これについては日本小児内分泌学会のホームページに詳しく書かれています。心配な方はかかりつけ医に相談してみましょう。
文責:清水医師