文字サイズ

医師会だより

22/23

東京都福生市

■白内障(はくないしょう)手術における最近の現状について
「白内障」とは眼において、「水晶体(すいしょうたい)」と呼ばれる部分が白く濁(にご)っていく病気(変化)です。「白内障って眼が白くなっていって見えなくなる病気なんですよね?」といった事をお話しされているのを耳にします。厳密にいえば正解ですが、もう少し細かい段階を踏んで、水晶体は「真っ白」になって「見えなくなる」病気(変化)です。先ほどから「病気(変化)」と書いておりますが、そもそも「白内障は果たして病気なのかどうか」ということも、毎日眼科診療している立場から皆さんに説明する際に、それが合っているかをいつも悩みながら説明しております。
白内障にはいくつか種類があり、最も多いのが眼の老化です。要するに加齢なのでほぼすべての方が、その進行度の速さは別として、白内障にはなっていくのです。進行度に差が出る要因としては、背景に「糖尿病を患(わずら)っている」、「ステロイドによる治療を行っている」、「アトピー性皮膚(ひふ)炎」などの全身の治療を行っている場合や、眼に直接的な外傷を負った場合によるものなどが考えられます。そのため、60歳台で7~8割、70歳台で8~9割、80歳台ではほぼすべての方がなる加齢性の白内障は、病気ではなく年齢による変化と言え、先ほど話したさまざまな全身性の変化により、通常よりも早く変化が訪れた白内障は、病気と言えるかもしれません。
症状は、かすみ、見にくい、まぶしい感じがするといった「視(み)えの質の低下」から始まり、症状が進行すると視力が徐々に低下していきます。よく、「手術した方が良いですか?」と診察時に聞かれます。その際、お答えすることとしては、ご自身の視えの症状が「生活の質に影響を及ぼしているか」が重要であり、影響が出ているのであれば治療、すなわち手術を受けられた方が良いとなります。
残念ながら、水晶体の濁りを取り除く目薬は現在ないため、白内障が進行した場合は、手術以外に視力を回復させる方法はありません。ですので、手術を受けられるタイミングはその人それぞれの「生活における困り具合」で決めれば良いと思います。皆さんもご自身の「視えの質」について生活上で少し考えていただき、少しでもお困りであれば眼科受診をするのも良いかと思います。

文責:馬詰(うまづめ)医師

       

福生市より市民のみなさまへ大切な情報をいち早くお届けします。 広報プラス ー広報ふっさー

MENU