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医師会だより

20/22

東京都福生市

■つばも飲み込めないほどの喉(のど)の痛みに注意
少し前のテレビCMで「つばも飲み込めないほどの喉の痛みには…(市販薬の名称)」というものを見たことがありますが、これは大変危惧(きぐ)されることです。特に喉の急性炎症では抗生剤やステロイド等を的確に使用する必要があり、悪化すると重症化するかも知れません。
喉の急性炎症の代表的なものを挙げますと、まず化膿性扁桃炎(かのうせいへんとうえん)が増悪(ぞうあく)した、扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍(のうよう)があります。扁桃周囲の軟口蓋(なんこうがい)(口蓋垂(こうがいすい)横の柔らかい部分)が腫(は)れ、増悪すると膿(うみ)がたまって膿瘍を形成します。こうなるとつばを飲むどころか喋(しゃべ)るのもつらくなり、口も開きにくくなります。この場合、内服薬の抗生剤だけでは改善しにくく、点滴による薬物投与に加えて、膿瘍形成例では膿を出す処置が必要となり、入院治療を要することもあります。膿が頸部(けいぶ)に拡がって、深頸部(しんけいぶ)膿瘍になるとさらに重篤(じゅうとく)となります。
次は急性喉頭蓋炎(こうとうがいえん)です。喉の奥で気管に飲食物が入らないように蓋(ふた)をする機能を持つ喉頭蓋が炎症により腫れます。腫れの程度が強いと呼吸困難や最悪窒息の恐れがあります。この疾患では口をあけて見える喉の部分はそれほど所見のないことがあり、喉の奥を覗(のぞ)かないと見逃されることもあります。やはり飲み込むのが困難となります。中等度以上の急性喉頭蓋炎では入院治療が必要で、重症例では気道確保のための処置(気管切開など)が必要となることもあります。
乳幼児の喉の炎症としてはクループ症候群(急性声門下(せいもんか)喉頭炎)があります。気管の入口部である声帯の直下が腫れて狭くなる状態です。犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)(犬やオットセイが吠えるような咳(せき))が特徴的で、増悪すると呼吸困難となります。とくに2歳未満の乳幼児はもともと気管入口部が狭いので、呼吸困難を起こしやすくなります。重症例は気道確保を要することもあります。
喉の強い痛みを感じるようであれば、市販薬などで様子をみるのではなく、早めに病院を受診するようにしてください。

文責:大野医師

       

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