◆成功体験の積み重ね~子どもの成長を支えるCS~
生涯学習推進課長 菱山栄三郎(ひしやまえいざぶろう)
生涯学習推進課がCS事業を担当して2年目となります。事業を担当して驚いたことは、学校や子どもたちへの支援に対する地域の方々の熱量です。生涯学習という視点だと、どうしても地域側から学校を見てしまうのですが、学校の授業支援や環境整備など、地域の方々は労を惜しまず、自分たちの活躍の場として活動しています。
そして地域には、さまざまな経験・知識・技術を持つ方々がいます。このような方々に交じり、私も行政を離れ、ひとりの支援者としてイベント等に参加することがあります。担当するのは昔遊びのベーゴマ。デジタル機器が得意な子どもたちは、相対的に苦手のようですが、なるべく挑戦を促しています。昔遊びというアナログなツールではありますが、子どもたちに挑戦する気持ちや成功体験を感じてもらうことができ、このような機会を創出するCS活動は、大切な交流の場ともいえるでしょう。
地域には子どもたちを健やかに育てる力があり、子どもたちには地域を笑顔にする力があります。子どもたち自身が、学んでいる学校、育っている地域をより大切に感じ、やがて福生を、地域を支える人材に育ってほしいと願うとともに、地域の方々の活躍の場としてのCS活動が持続的に発展するよう取り組んでいきたいと考えています。
◆これからの学校教育のあるべき姿~地域が参画する学校づくり~
教育部参事 森保亮(もりやすりょう)
もともと中学校の数学科の教員を勤めていましたが、指導主事として市教育委員会に異動し、市内初のCSの立ち上げに携わりました。当時は全国的にもCSの導入が進んでいなかったこともあり、「CSとは何か」を勉強するところからスタート。地域がどのように学校経営に携わるのかなど具体的なことがまったく見えない中、さまざまな方に話を聞いて市でのCSの在り方を検討しました。今思うと、全国に先駆けてCSを導入できたのはコンパクトシティの良さが出たのだと感じています。
その後、福生第二中学校の校長として学校に戻り、現場でCSの大切さを感じることができました。教員が地域の特色に合わせた教育活動を行うためには、地域を知っている方の助けがないと行えません。また、学校の最終責任者である校長の立場としても、昨今、校長1人で学校経営を考えるのは非常に難しい時代になっています。そんな中、直接アドバイスをいただいたり、学校の教育活動の支援などをしてくださるCS委員の存在は欠かせないものになっています。
CSは、これからの学校教育のあるべき姿だと思います。持続可能な教育活動を行うためにも、若い世代の方も含めた地域の方にどんどん学校に関わっていただくことが必要です。「地域とともにある学校」づくりにご協力ください。
◆世のため人のためから生まれるwin・winの関係
教育長 石田周(いしだまこと)
◇CS委員って、どんな人たちですか?
もしも市民からこのように聞かれたら、私は本田宗一郎氏の言葉を胸に、「世のため人のため、自分たちが何かできることはないかと、いつも考えている人たちです」と答えるでしょう。現在、市内全小・中学校には100人のCS委員が任命され、校長の学校経営方針を支えるための熟議を展開し、日々子どもたちのため、教職員のためにご尽力いただいています。年間6~8回のCS委員会は、全校共通して「校長の学校経営の承認」や「学校行事の在り方」、「児童・生徒の学力や体力等の状況の把握」など、学校側の報告について熟議を行っています。
それを踏まえた上で、その具体的な活動は、10校それぞれ異なります。ある小学校では、放課後学習支援教室で添削(てんさく)指導をしているCS委員が、運動会の短距離走のスターターや、ゴールで着順判定を担当します。それに気が付いた小学生は、いつも放課後優しく宿題を見てくれるCS委員の前で、いいところを見せようと張り切って走っているそうです。ある中学校では、高校受験対策で面接練習をするときの面接官をCS委員が担当しています。そのCS委員の町会長の呼び掛けに応えて、中学生有志が老人会の公園清掃行事に参加して地域の皆さんに喜ばれています。
私は年に一度は、各校のCS委員会に参加していますが、そのたびに「Win・Winの関係」がCS委員会を持続可能な仕組みにする鍵だと感じます。CS委員は、世のため人のために活動してくださる。その活動を通じて、交流が生まれ、その結果、子どもたちが町会や自治会の活動に参加して、地域活動が活性化する。CS委員にとっても、学校にとっても良い効果がある、やりがいがある。そのWin・Winの相互性が大切だと思っています。
◆あとがき
今回の取材で学校を訪ねてみると、CS委win・winの関係員との会話に笑顔がはずむ子どもたちの姿が印象的でした。福生の子どもたちにとって、親や学校の先生に加えて、さまざまなことを教えてくれたり、見守ってくれたりする地域の身近な大人としてのCS委員が非常に大きな存在となっていると感じました。
今回分かったのは、CS活動が子どもや学校だけでなくCS委員の方にとっても重要な活動であるということ。CS委員の方の「CS活動があることで生活にメリハリが出るし、やりがいや元気をもらっている」という言葉が耳に残っています。学校・子ども・地域は互いになくてはならない存在となっています。
CSによって学校を核として地域の輪が広がり、みんなでより良い地域を作っていく。CSにはそれを実現させるための大きな力があります。本特集を通して、CSをより多くの方に知っていただき、CS活動が未来につながっていくことを願っています。
みんなで作る、つながる。地域とともにある学校
ーfin.ー
問合せ:
・企画・発行…秘書広報課広報広聴係【電話】551・1529
・コミュニティ・スクールについて…生涯学習推進課生涯学習推進係【電話】551・1950