■福生から世界へ
HERITAGE PAGEANTS 世界大会2023 ミス部門グランプリ
ダンサー・モデル 原衣梨佳(はらえりか)さん
令和5年11月18日~27日にかけてタイで開催された、参加者の個性や内面の魅力などを重視した審査を行うコンテスト「HERITAGE PAGEANTS(ヘリテイジ ペイジェンツ)世界大会2023」。その「ミス部門」で16か国以上の参加者の中からグランプリに選ばれたのが、福生市在住の原衣梨佳さんだ。
しかし、この華々しい結果の裏には挫折や転機など、決して平坦ではない道のりを歩んできた過去があった。
◇挫折(ざせつ)を味わったバレリーナ時代
子どものころ、ディズニーリゾートのパレードでダンサーの踊りに魅了された原さん。「踊りの基礎はバレエだから」と母親から言われ、9歳ごろから市内のクラシックバレエスタジオに通い始めた。高校卒業後は、プロのバレエダンサーを育成する新国立劇場バレエ研修所のオーディションを、倍率10倍の中見事合格し入所。
しかし、その後は新国立劇場バレエ団への入団を目指し、研修生公演や舞台実習として新国立劇場バレエ団の公演に参加しながら2年間勉強するも、残念ながら入団は叶わなかった。また、ほかの国内バレエ団に合格したが、175cmという高身長だったため、男性とも組みづらいことや、横に並んで踊るときに一人だけ頭が抜け出てしまうことなどから「役に入れられないかも知れない」と言われた。
その後、国内で行われていたカナダのバレエ団のオーディションに合格し、海外へ渡る。しかし、度重なる体調不良や、足のけがが思うように治らず、帰国を決意することに。
◇人生を変えた母親のアドバイス
「ミュージカルとかなら高身長も個性として生かせるのでは」という、母親からのアドバイスを受け、ジャズやコンテンポラリーダンスなどのダンスを本格的に始めた。
コロナ禍に、先輩から「所属している劇団で、身長が高くてバレエをやっていた人を探している」と誘われ、ナチュラルダンステアトルという舞踊演劇団に入団。現在でもその劇団で、バレエやジャスダンスなどの経験を活かし活躍している。全国で学校公演などを行う機会も多く、「大好きな踊りをしながらも、バレエをやっていたころにはできなかった観光ができるなど、モデルのお仕事も含めて今はすごく楽しいです。」と笑顔で話す。
そんな中、友人から日本初開催となる美のコンテスト参加の誘いが。帰国後はSNS用のポートレート写真の被写体を頼まれる機会が増え、素敵な表情を撮影してもらえるモデル業にも興味が湧(わ)いていたことや、美のコンテストでは身長が高いと有利であるイメージもあったことから一度挑戦してみようと考え、HERITAGE PAGEANTS JAPANへの出場を決めた。
日本大会では令和5年4月から月に1・2回程度、本番に向けてアドバイスを受けながら行うオーディションがあった。審査員からは厳しくも一人ひとり丁寧なアドバイスを受けることができ、自身の成長につながったという。結果は、見事グランプリを受賞し、タイで開催される世界大会への挑戦権を獲得した。
続く世界大会は、同年10月18日~27日にわたって開催。期間中は各国の出場者と24時間行動をともにした。特技披露やナショナルコスチュームでの審査などのほか、常に生活の様子も採点されていたが、あまり気にせず、普段通り楽しむように心がけたという。
「1人で異国の地の舞台に上がり、マイクを持って英語で質問に答えるというのは、この大会に挑戦する前には絶対にできなかったこと。最後まで笑顔で堂々と立っていられたのは成長したと感じられたし、いい経験ができました。」
ついに原さんは世界大会という大舞台で、グランプリのほか、マルチメディア賞とタレント賞も受賞する快挙を成し遂げた。
◇ダンスやモデル業で人を魅了できる人に
「今はアルバイトをしながらの生活ですが、ダンスやモデル業で生活ができるようになりたいと思っています。ダンサーの踊りは見ていてワクワクするし、人を幸せな気持ちにできることが魅力だと感じています。大会の時は人を笑顔にしたいという気持ちでウォーキングしていました。その気持ちが届いたからこそグランプリを受賞できたのだと思います。その時のように今後もダンスやモデルのお仕事で、皆さんの心を動かせるような人になりたいです。」