■健診心電図などで指摘された上室期外収縮(じょうしつきがいしゅうしゅく)は経過観察でいいのか
期外収縮とは正常とは起源の異なる早期の心拍のことで、心臓の上側の部屋(心房(しんぼう))が起源の不整脈を、上室期外収縮といいます。上室期外収縮は加齢とともに増加し、健常人でも9割以上に認めますが、多くは100回/日以下であり、100回/日程度までは正常と判断して良いと言われています。カフェインやアルコール摂取(せっしゅ)、ストレス、睡眠不足、疲労、心臓弁膜症(べんまくしょう)などで増加することもあります。
無症状のことが多いですが、「動悸(どうき)がする」、「喉(のど)がつまるような感じがする」、「脈が飛んだような感じがする」、「脈を強く打つような感じがする」などの自覚症状を有する場合もあります。
上室期外収縮のみであれば予後(よご)良好ですが、心房細動(しんぼうさいどう)の発症との関連も報告されています。心房細動は心不全(しんふぜん)の発症や血栓塞栓症(けっせんそくせんしょう)(特に心原性脳塞栓(しんげんせいのうそくせん))の合併などに注意が必要な不整脈であり、器質的心疾患(きしつてきしんしっかん)が無くても100回/日以上の上室期外収縮は、心房細動の新規発症の予測因子(よそくいんし)となります。
健康診断の心電図で上室期外収縮が記録された方は、心房細動と心血管死(しんけっかんし)が有意に多く、また上室期外収縮が脳卒中(のうそっちゅう)や全死亡(ぜんしぼう)、心血管疾患と関連することが指摘されています。
通常、上室期外収縮は治療の必要はなく、原因となる心疾患が無く、無症状の場合は日常生活で特記制限をする必要はありません。カフェインの大量摂取や飲酒、喫煙(きつえん)、ストレス、睡眠不足、疲労など、心臓に負担となる習慣がある場合には改善を試(こころ)みます。上室期外収縮がQOLを損(そこ)なうときは治療(薬物治療、非薬物治療)も検討されますが、副作用や合併症なども考慮して決定する必要があります。心不全や心臓弁膜症などの心臓の基礎疾患が見つかった場合には、そちらの治療を行います。
特に、自覚症状を有する場合や血圧が下がるなどの血行動態(けっこうどうたい)に影響がある場合などは、病院やクリニックを受診し、医師と相談して心エコー検査や24時間ホルター心電図などでの精査を検討しましょう。
文責:白川医師