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■酸蝕歯(さんしょくし)
酸蝕歯とは、虫歯ではないのに飲み物に含まれる酸や、お酢、持病による胃液の逆流などによって酸性の強いものが頻繁に歯に直接触れることでエナメル質表面が溶けてしまった歯のことをいいます。患部が部分的に変色する虫歯と違い、進行によって歯が全体的に透けて見えることが特徴です。
症状としては(1)歯が薄くなり先端や角が丸みを帯びる(2)奥歯のかむ面に小さく黄色い穴が生じる(3)エナメル質が透けて歯が黄色く見える(4)歯と歯茎の境目が白く帯状になっているなどが挙げられます。自覚症状が、ほとんどないため、放置すると、そこから虫歯になりやすく、注意が必要です。
酸蝕歯は歯周病、虫歯についで第三の歯科疾患として問題になってきており、現在、日本人の約4人に1人が酸蝕歯であると言われています。予防としては酸性度の高い飲料をダラダラ飲まないことが挙げられます。これが習慣になると酸蝕歯のリスクが上がります。特に寝る前は、唾液の分泌量が極端に少なくなるので、召し上がった場合には、アルカリ性に近いお水でうがいをするなど注意が必要です。
酸蝕歯の治療の基本はブラッシングで歯科医院では歯質を守る薬剤(フッ素系)を歯に塗ってバリアを作る治療をします。ただ、酸蝕歯が進行して歯に穴が空いた時は虫歯治療と同様に詰め物で処置を行います。歯の先端が透けているように見えたり、急激に歯が黄色くなったと感じたときは、一度かかりつけの歯科医院で相談してみることをお勧めします。
文責:山口歯科医師