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医師会だより

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東京都福生市

■しもやけ
しもやけ(凍瘡)は、平均気温4~5℃で1日の気温差が10℃前後という環境で発症しやすくなります。主な症状は、皮膚(ひふ)の赤みや腫(は)れ・水ぶくれ・かゆみです。手足の指先に多く、耳たぶ・鼻先・頬(ほほ)にもみられます。近年は、暖房で室内全体が温まるようになっているため、患者数は減っていますが、時々見かける疾患です。初めてみた方は「これがしもやけですかー」とびっくりする方もいらっしゃいます。春になって気温が上がれば自然に治癒(ちゆ)します。
寒いと、血液を送る「動脈」と、血液が戻る「静脈」はいずれも収縮します。一方、急に暖まると、弾力性のある動脈はすぐに拡張しますが、静脈は拡張に時間がかかります。このため、末端の毛細血管が集まる手足などで、血流が滞(とどこお)り、炎症が起きて、しもやけが発症します。ただ、発症には気温だけでなく、発汗や遺伝的な要因が大きく関わっており、明確な発症のメカニズムについては分かっていません。
この疾患は予防することがとても大切です。夕方冷え込んだ時間帯に外で遊んでいた学童、雪かきや部活帰りに汗をかいて手足が冷えた際によく見られます。外出時は手袋や靴下で防寒し、血行不良を招く窮屈(きゅうくつ)な靴は避けてください。手を洗った後、風呂上がり、運動で汗をかいた時は水で流し、きちんと水分を拭(ふ)き取ることが大切です。局所を温めれば治るものでもなく、火照った時は軽く冷やしたほうが楽になります。体を温める入浴はおすすめですが、急に熱い湯船に入るのは逆効果です。
腫れなどの炎症症状に対しては、ステロイド外用剤を塗(ぬ)って治療します。血流障害に対しては、血管拡張作用のあるビタミンEの外用剤を塗ったり、患部を保温しながらマッサージを行ったりして、血液の流れを改善します。毎年発症する人は、医師と相談し、秋ごろから予防的にビタミンE製剤を飲む方法もあります。

文責:野村医師

       

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