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医師会だより

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東京都福生市

■皆様こそ「健康長寿の主人公」
WHO(世界保健機構)の2023年統計で、日本の健康寿命は74.1歳、平均寿命は84.3歳で双方とも世界一位でした。これは我が国が、社会保険制度等で目指して来た“誰もが負担可能な範囲で、必要な医療が受けられる社会作り”の成果であると、医療・介護・福祉に携わる者として感じていますが、さらに取り組むべき課題は、まだ在るとも感じています。
健康寿命とは、WHOが「健康上の問題で制限されず、日常生活が送れる期間」と提唱した概念です。単純に我が国の統計に当てはめれば、概(おおむ)ね75歳頃から、加齢や慢性疾患等で生活機能の衰(おとろ)えを抱え、やがて日常生活が制限され、健康とは言い難(がた)い時を過ごされ、約10年前後で余命を終えられていることになります。共に取り組むべき課題の多くは、この“日常を送る生活機能の可能な限りの維持”に在ると思います。WHOはすでに1947年の健康憲章で「“健康”とは単に病気や衰えがないことではなく、身体・精神・社会的に良好な状態にあること」と投げ掛けています。病気を抱え始めた年齢に拘(かかわ)らず、老いも若きも、皆様各々が体調や病と折り合い、生活機能を維持し、周囲の人々と交流し支え合い、充実感をもって、人生を歩み続ける「生活の質(QOL…Quality of Life)」の確保を支えることこそ、医療・介護・福祉に携わる者の課題と責務だと、胸に刻んでおります。
勿論、それは私どもだけで解決出来る課題ではなく、皆様お一人お一人が、健康長寿の主人公として、自らの健康維持課題の改善を目指し、私どもと協働し、「慢性疾患」を管理し、「社会との繋がり・生活環境・栄養・生活機能・認知機能」等を維持し、「QOL」を確保する「自己ヘルスプロモーション」活動に取り組まれ、国や福生市の「公的支援システム」も活用し、寿命の長短に拘らず、命の道筋が続く限り輝かせ、歩まれ、皆様や次世代が、「人生100年時代」の礎(いしずえ)を形作られることを、念願しております。

文責:玉木医師

       

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