■相手を知る、ということ
外国人もまちにいることが当たり前となった福生。しかし、文化や習慣などが違う日本人と外国人が同じ地域で暮らしていると、お互いにいろいろな悩みが生まれることもあります。
文化の違いを乗り越え、さまざまな国籍の住民が一緒に生活していくための第一歩、それは「相手を知ること」。
今回、約500人の外国人の進学・就職支援を行う、市内の日本語学校「新日本学院」の学校長・中島崇(たかし)さんにお話を伺いました。
◆違いを受け入れられる、思いやりのある社会を目指して
新日本学院学校長 中島崇さん
▽Profile
2004年から日本語教師として働き始め、2009年より新日本学院で勤務。現在は校長を務める。
◇文化の違いから生じる日本人と外国人の隔たり
私は2009年から新日本学院で働いていますが、当時は日本の文化・習慣の違いから生じるトラブルの対応が大変でした。「外国人がうるさい声で喋(しゃべ)っている」、「ごみの分別をしない」などといった苦情が、日本人住民からこの学校に多く入りました。
本当はその場にいたときに直接、「それは駄目ですよ」と教えてあげないと外国人の方も分からないのですが、日本人の方から「外国人は何を考えているか分からないから、近寄りがたい」などと実際に言われたことがあり、同じ日本人として理解できることもあるので、なかなか難しい壁があると感じました。
ごみの出し方など、自分の国では普通だったことが日本ではルールが厳しいということが多いので、すぐに生活習慣を変えるのは難しい面はありますね。ですが、学生は指導などを通して、頑張って日本のルールに適応しようと努力をしています。
◇「相手を知ること」が共生社会を進めるきっかけに
ここ数年、近隣の中学校・高校から職場体験を受け入れていて、外国人を相手に授業をしてもらっています。今年来てもらった中学生は、最初は接し方に戸惑っていましたが、次第に「こういう言葉を使うと伝わらない」とか、相手のことを見て、考えて授業をしようとしていたんですよね。体験後、中学生たちが「外国人の方は明るくて親しみやすかったです」、「相手に思いを伝える方法を学びました」と言っていたのが印象的でした。このように、「相手を知ること」は共生社会を目指すうえで非常に大切です。
日本人同士でも育ってきた環境が違えば、考え方も違います。私は広島県出身ですが、「やっぱり東京の人は違うな」と思うこともあるので。東京の人、広島の人とひとくくりにされると嫌な方もいますよね。日本人も外国人も同じだと思います。「人は誰しも違いがあり、一緒ではない」ということを受け入れ、相手を思いやる気持ちを一人ひとりが持ってくれたら嬉しいです。
■Voice あなたのこと、教えてください!
福生で暮らす外国人の方と新日本学院の職員さんに、生活のことやこれから頑張りたいことなどをインタビューしました!
◇エンジニアになるために、日々勉強中!
モンゴル出身 26歳 ムンフバートル ムンフビルグーンさん
去年の4月に、モンゴルから日本に来ました。昔から日本の文化やアニメに興味があり、日本に行くことは高校生のときからの夢でした。日本語は、尊敬語と謙譲語の使い方が難しいですね。趣味はダンスと、音楽を聴くこと、絵を描くことです。福生市は多摩川がきれいだと聞き、今度見に行こうと思っています。将来は、メカニックエンジニアとして、就職したいです。
◇大好きな日本で介護福祉士になりたい!
ベトナム出身 35歳 グエン ティ ゴック タオさん
日本で働いていたことがあり、日本の便利さなどが大好きで、住み続けたいと思い、今年の7月にベトナムから来ました。ベトナムは涼しいですが、日本はとても寒いですね。時間があるときは、ドラマを見ながら日本語を勉強しています。日本のドラマは「花より男子(だんご)」が好きです。今はアルバイトをしながら日本語を学んでいます。来年は専門学校に進学し、介護福祉士の資格をとりたいです。
◇生徒から信頼される職員を目指します!
ベトナム出身 23歳 グエン ティ ゴック ニイさん
6歳の時にお父さんの仕事の関係で、家族で日本に来ました。最初日本に来たときは、玄関の扉をどの家も閉めていることに驚きました!ベトナムは玄関を開放的にしているので。私は、看護師として働いていましたが、今年の10月から新日本学院で事務の仕事をしています。生徒とは、困ったときには私のことを一番に思い浮かべてもらえるくらいの信頼関係を築いていきたいですね。
■外国人の生活を動画で紹介・支援します
福生市と羽村市が設置する「ふっさ・はむら多文化共生事業協議会」が作成した、多文化共生に関する動画(日本人向け、外国人向けの2種類)を福生市公式YouTubeチャンネル「福生市メディアラボ」で公開しています。
◇日本人の方へ
わたしたちの毎日~福生の外国人インタビュー~
福生市に住む外国人の方に、「休日の過ごし方」や「周りの日本人との関わり」などについてインタビューしました。外国人住民の方を身近に感じていただけるような内容です。
◇外国人(がいこくじん)の方(かた)へ
外国人(がいこくじん)のための福生市生活(ふっさしせいかつ)ガイド
「ごみの出(だ)し方(かた)のこと」「税金(ぜいきん)・保険(ほけん)・年金(ねんきん)のこと」「地震(じしん)や台風(たいふう)の時(とき)のこと」「子育(こそだ)てのこと」がわかるビデオを作(つく)りました。
ビデオには、やさしい日本語(にほんご)と英語(えいご)・スペイン語(ご)・中国語(ちゅうごくご)・ベトナム語(ご)・韓国語(かんこくご)・ネパール語(ご)・タガログ語(ご)の字幕(じまく)がついています。
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※QRコードは本紙をご覧ください。